第4回を迎えた全国フォーラムは行政、社協、NPO、企業等から688名の参加がありました。連携・協働をベースに「災害支援の文化を創造する」ことを目指し、全体セッションでは、スーパー広域災害の南海トラフ地震に向けた官と多様な民の連携強化、大規模災害に備えた地域のネットワークに必要とされる機能と体制、そして県域ネットワークの構築への取り組みについて意見が交わされました。20のテーマで行われた分科会は、災害時に直面した問題・課題を深掘りし、解決のための提言・啓発につなげ、災害支援の専門的な知識やノウハウが共有できる機会になりました。
JVOADや全国フォーラムに対する今後の期待・ご意見・ご要望をお聞きしました。
「三者」とはなにか?行政・社協・NPO等と、「等」のくくりが難しい。発災時において、行政・社協は民間を頼るところが多いので、資金や人手のサポートもして欲しい。(NPO)
情報共有会議の目的の一つは「信頼関係の醸成」と思うのですが、会議以外でもつながりを進めていく手法も考えていきたい。(NPO)
CSR部以外の企業の部署が災害支援に関わるのが難しい。そういう支援企業の情報を共有して欲しい。(企業)
一介の企業が自治体や社協と信頼関係を築くには壁が高い。(企業)
専門職の専門職チームも大事だけど、横のつながりを広げ顔の見える関係になっていけばと感じます。どうしても医療・看護は必然です。医療職がもっとこのような会に参加して欲しいと思いました。(職能)
三者連携の浸透を促進するには、行政職員や社協職員も全国フォーラムに参加して欲しい。(中間支援)
障がい者支援団体も災害支援関係者との更なるつながりが必要。(大学・教育機関)
登壇者が異なる職種であったため、様々な視点からの経験を踏まえた話が聞けて勉強になりました。(大学・教育機関)
災害支援ネットワークを災害だけでなく、地域福祉、共生社会へ活かせるような取り組みがあればと思います。(社協)
どんどん行政を巻き込んで、連携を深めて頂きたいです。ただ、行政は人事異動があるので、課題がたくさんあります。(行政)
南海トラフに向けて、今、まさに各機関が何に取り組んでいるかを知ることができるポータルを展開して頂けたらありがたいです。(行政)
平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震をはじめ、昨年度各地で相次いだ災害に対して、行政・NPO・ボランティアの三者が連携して被災者支援を行いました。幾多の災害経験により、少しずつ連携・協働の在り方が形をつくり始めています。
一方で、連携の枠組みはあるものの、発災時をイメージした具体的な役割分担まで検討が進んでいない県も相当数あるように見受けられます。災害が多発、激甚化する中、被災者支援を効果的・円滑に実施するため、被災者支援活動に関わる三者連携体制を構築・強化することが、ますます求められています。
本分科会では、三者連携の現状、課題、今後の取組について、議論を行いました。
<企画> 内閣府政策統括官(防災担当)
被災した住民の支援を目的として、ボランティア、NPO、行政が連携して活動する災害ボランティアセンター(以下 災害VC)は、「住民中心」「地元主体」「協働」の3つの基本理念をもとに運営され、その目的は被災者の生活の回復にあります。
本分科会では、変遷していく被災者の生活に焦点をあて、災害VC、地域支え合いセンターの取り組みを中心として、被災者に寄り添った被災地支援の展開について考えます。
<企画>全国社会福祉協議会、日本生活協同組合連合会
日本の災害事情や防災知識を知らない外国人住民等が増加傾向にある中、近年、多発する地震や台風などの災害により外国人も被災者となる場面が増えています。災害時の外国人支援については、これまでも数々の被災経験等が踏まえられ、自治体、地域国際化協会等において、様々な取組が推進されてきていますが、この分科会ではそれら取組等を振り返ると共に、今後に向けた課題や取組の方向性について考える機会とします。
<企画>自治体国際化協会・市民国際プラザ、難民支援協会(JAR)
広島県坂町で実施した西日本豪雨災害の被災者アセスメント調査の実施報告を通して、福祉専門職による聞き取りにより収集された情報が、被災者の災害ケースマネジメントに基づいた生活再建にどのように接続されるのかを整理し、調査方法、ソーシャルワーク、制度設計の側面からその有効性を考えていきます。
<企画>ダイバーシティ研究所
災害発生後、直ぐに医療・保健・福祉の対応を必要とされてなくても、避難生活の環境の悪さや周囲への遠慮・気兼ねから体調を崩すなど災害関連死のリスクが急増します。こうした「ハイリスク予備軍」に対しては、早期発見と具体的な支援ができる人材やネットワークの拡充が必要です。本分科会では、支援者が避難所でよく直面した困りごと(課題)と「知っていれば誰にでも配慮できる対処」をまとめた事例集の「避難所あるある」を基に、参加者自身が学び、考えることで、支援に関わる人々の裾野を広げることを目的としています。
<企画>JVOAD避難生活改善に関する専門委員会
この分科会では、被災地で、それぞれの時期にそれぞれの市民が必要としている物資の提供を目指して、多用な民と官(国、地方自治体)、民と民(企業、NPO等)が、どのように連携したらよいのか、共有すべき情報が何かを認識することを目的としています。被災地での救援物資の供給が、より効果的・効率的に行われるよう、民と官の組織・団体が、それぞれ相対的な優位性をもつ活動領域(物資の種別や地域、対象者等)を災害発生からの時間経過のフェーズ(発災初期、中後期、復興期等)ごとに整地することをゴールとします。
<企画>JVOAD
災害発生時に被災者はどこで何を相談していいか悩みます。災害後の生活再建に向けて、多くの問題を抱える被災者に対し司法書士会として、多くの相談活動をしてきましたが、相談をしに足を運ぶことが出来ず悩んでいる人や、支援が必要にも関わらず支援を受けられずに苦しんでいる人達も多くいます。特に、法律専門家へのアクセスはよりハードルの高いものとなってしまっているのではないでしょうか。
被災現場で被災者と身近に接している災害ボランティアの皆さまは福祉関係者が被災者の声を拾い上げて、法律専門家へつなぐことが求められています。この分科会では、最初にこれまで行ってきた司法書士会の相談活動の紹介を行い、その後、福祉関係者とのディスかっしょにより被災者に必要な相談支援を行うための「連携」はどうあるべきかを考えていきます。
<企画>JVOAD、司法書士会
2016年に立ち上げたJVOAD「避難生活改善に関する専門委員会」では、災害関連死や重篤な健康被害を防ぐための効果的な支援方法について検証を重ねてきました。この分科会では、避難生活から一人ひとりの命と尊厳を守るため、また多様な人が取りこぼされないために効果的だった、地域、NPO、医療や福祉の職能団体、行政との連携・協働の事例やポイントを学び検証します。
<企画>JVOAD避難生活改善に関する専門委員会
被災時には家屋の復旧や再生が地域再生のカギとなります。昨今の災害では半壊以上の被害認定を受けた家屋が公費解体が進んでいる感があります。技術系NPOのみならず、行政関係者を含め、被災後の地域復興を見据えた家屋の復旧・再生・解体等について認識を深め、制度の持つ可能性と制度活用後の地域再生を検討し、被災地の復興を後押しすることを目的とします。
<企画>JVOAD技術系専門委員会
日本社会は、超高齢化や自治体職員激減等により、災害に対して非常に脆弱な社会となってしまった。災害時、福祉支援が不足すると、生活機能の低下や要介護度の重度化、病気の発症などの二次被害、最悪は関連死に至る。現状の支援の実態を知り、どのような福祉ニーズがどれほど発生し、それに対してどれだけ福祉支援が必要なのかを定量化することが課題であり、専門委員会では調査を実施した。
<企画>JVOAD福祉支援専門委員会準備会
本分科会では、頻発する災害により異なる様々な社会課題への企業の対応として、賛助会員企業/団体とJVOADとの協働事例を交えつつ、JVOADへの期待を共有しました。
<企画>JVOAD賛助企業・賛助団体
国際基準・スフィア基準がニュースで取り上げられるようになりましたが、その内容が広く正しく知られているとは言えません。本分科会では、2018年に改訂されたスフィア基準の全体像や改訂のポイントなど、最新情報をご紹介します。
また、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震への支援において見えてきた課題を事例とし、改めて、なぜ「支援の質」を高める必要があるのか、「支援の質」を上げるには、どうしたらよいのかを考えます。
<企画>ジャパンプラットフォーム(JPF)、国際協力NGOセンター(JANIC)
災害時には、NPO/NGO、社協、行政、地域支え合いセンターなどが主体となり、情報共有会議、連携会議、ネットワーク会議などの様々な会議が開催されます。本分科会では、①参加したくなる会議のつくり方、②組織連携の促し方、③組織の智恵のつむぎ方をテーマとし、平成30年7月豪雨災害で「ひろしまネットワーク会議」を開催している松原裕樹氏と、平成29年の熊本大地震において上益城郡嘉島町でさまざまな共有会議の支援を行った鈴木まり子氏をゲストに、遠藤智栄氏のコーディネートのもと、参加者とともに意見交換を行いました。
<企画>日本ファシリテーション協会
災害時において必ず発生する復興の担い手不足について、どうすれば災害復興に携わる人材を生み出し、継続的に関われる環境を整えることができるのか。東日本大震災の経験をもとに、制度、人材育成、担い手のキャリア、モチベーションなど多様な視点から、復興の担い手不足の課題を明らかにしながら、今後の災害に活かすことを目的に開催しました。
<企画>東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)
災害廃棄物処理について、国(環境省や国交省)の事業により、個人敷地内であっても行政が対応できるケースがありますが、実態は個々の自治体により差があります。本分科会では、災害廃棄物の対応について、行政との連携を基本とし、被災者の生活復旧につながるヒントを見つけ、災害時の対応に活かすことを目指します。
<企画>JVOAD技術系専門委員会
宗教系団体による被災者支援は、息の長い活動期間や高い動員力、そして心のケアへの理解などから、頼りになるという見識が近年の災害支援事例から広まってきている一方で、宗教系支援団体は行政、社協などから災害活動の趣旨が理解されにくいことがあります。本分科会では、宗教団体当事者だけでなく、学識者と社協という第三者的な視点を含めて宗教団体の災害支援活動について議論を行いました。
<企画>ヘルピングハンズ
災害発生時、【食・栄養】の課題は山積みです。頼りにしたい行政も時に被災者となり、全てには手が回りません。また、支援者自身の【食・栄養】も大切です。逆に、【食・栄養】に関わらない人は居ないので、誰もが取り組み易いテーマでもあります。そこでこの分科会では本フォーラムで初めて【食・栄養】をテーマに掲げ、官民学の多方面から課題認識や対応状況を共有しました。また、この分科会を課題解決に向けた官民学連携活動のキックオフと位置づけ、参加者にも参画を呼びかけました。ここから、それぞれが持つ強みを活かして皆で出来ることを一緒に考え、実践する取り組みが始まります。
<企画>味の素ファンデーション
長期的な経済停滞や少子高齢化など日本社会の様々な仕組みが変化を強いられている中で生じた東日本大震災以降、従来の災害対応や復旧・復興の仕組みだけでは必ずしも生活再建に向けては十分に対応できないことが明らかになってきました。その一つが高齢者、障害者、生活困窮者などの社会的な脆弱性を抱える人たちを中心とした生活再建です。この分科会では、様々な災害での取り組みが進む生活再建支援の仕組みとなった災害ケースマネジメントについて、いち早く制度化し、現在も取り組みを進める鳥取県の事例を通じて学び、今後のあり方を議論します。
<企画>JVOAD、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター
災害時の連携において情報共有の重要性はすべての人が認識するところであり、これらの情報を地図に展開できれば、さらに価値が増すこともよく知られています。しかしながら、どのような地図データや地図システムが活用できるのかについて知る人は多くありません。分科会19では、災害対応の現場での地図の利活用について、地図データや地図システムに精通する技術支援者と平成30年7月豪雨で対応を行った現地支援者で検討を行いました。
<企画>JVOAD災害時の情報集約に関する専門委員会