第7回全国フォーラムでは、4年ぶりとなる会場でのリアル開催となりました。行政、社協、NPO、企業等から427名の参加があり、巨大地震を見据え、災害時に迅速に連携できる体制の構築を目指すため、オープニングセッションでは、「南海トラフ巨大地震、支援の❝想定外❞は無くせるか?」と題し、南海トラフ地震が発生した場合、日本はどうなるのか、被災者支援はどのように実施できるのか、現在想定される状況について学びました。クロージングセッションでは、「支援で「目指す姿」を実現するために」というテーマで議論を行いました。「地域」、「分野」、「備え(つながり)」を軸にした18の分科会では、災害時に直面する様々な問題や課題について参加者とともに考え、解決のための提言・啓発につなげるとともに、災害支援に関する専門的な知識やノウハウが共有でき、「支援の目指す姿」を議論する機会となりました。
JVOADや全国フォーラムに対する今後の期待・ご意見・ご要望をお聞きしました。
このフォーラムの必要性はますます高まっていると思いますし、今年は多くの企業が参加していたことも新鮮でした。(NPO)
久しぶりに多くの人たちとリアルに会うことができ、大満足でした。もしもの時に重要なのは「いつものつながり」という言葉があるように、直接会って話すことの重要性を強く感じた会でした。(NPO)
現場のボランティアの内訳、現場の生の声、リアルなニーズと迅速な情報共有、若い世代との交流会などをテーマにしてほしいです。(企業)
災害支援には連携が不可欠だと考えているので、人的・物的支援で様々な役割を担っている企業や団体とつながることができたのは非常に有意義だった。また、分科会では多様な意見を聞くことができ、素晴らしいと感じました。(企業)
行政が被災者支援や災害対応のために連携したいと考える平時のコミュニケーションや訓練プログラムを取り上げてほしいです。(協同組合)
各都道府県の動きを可視化してほしいです。(中間支援)
ネットワークを維持する中間支援組織への財政支援が必要。(大学・教育機関)
仕事の都合もあるかもしれませんが、日程は年末を避けるなど、もう少しシフトした方が良いのではないかと思いました。(社協)
三者(行政、NPO、社協)が共通して持つべき「メンタリティ」のようなものについて聞きたい。(社協)
三者連携のためのコミュニケーションの推進が必要だと感じました。(医療関係)
被災地以外での顔の見える関係の具体例を知りたいです。できれば、無理のないレベルでの人間関係の例について。(行政)
災害中間支援組織への注目が高まる中、災害時の官民連携を有効に機能させるためには、平時からの連携・協働を促進するための行政の側の対応も急務である。このセッションでは、内閣府が令和5年度から実施している「官民連携による被災者支援体制整備事業」のモデル事業実施県の担当者を交え、事業の取組状況やその中で見えてきた成果や課題、特に行政に期待される役割などを共有し、横展開を図ることで、全国での災害中間支援組織の設置や活動の高度化を促進する。
企画:内閣府
都道府県域においては、支援を行う組織同士がネットワークを構築することで、地域の災害対応力を強化する動きが始められています。災害支援のネットワークがあることで、支援リソースが把握でき、個々の組織のスキルアップにつながり、組織同士の連携した支援体制が作られる、といったことを想定し、JVOADでも、助成金や企業からの寄付金、「災害支援そなえ令和基金」を活用し、各地のサポートを行っています。本分科会では、各地の取り組み事例を紹介するとともに、支援のすそ野を広げていくための課題に対して、これから災害支援に関わりたいと思っている企業やNPO等が、どのようにネットワークに参加したらよいのかを一緒に考える機会とします。
企画:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
東日本大震災では津波・地震・原発事故により多くの方が広域避難を余儀なくされました。JCNでは広域避難者の災害ケースマネジメントに取り組み、支援事例や広域避難における課題を明らかにしてきました。避難先での住まいの問題、住民票の問題、避難先における支援格差の問題等、今後の大規模災害に備えて考えるべき課題が多くあります。一方で、避難先で避難者を支援している団体の活動からはネットワークや連携の必要性など今後の災害に向けて、必要なことも明らかになってきました。本分科会では、大規模災害に備えて、広域避難者の支援について一緒に考えることができればと考えております。
企画:東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)
近年、気候変動の影響もあり、地震だけでなく大雨・土砂災害などの災害が頻繫に発生している。大規模災害になるとDMATや救護班などの医療チームが結成され、被災地に入るが、その活動は本部活動や病院・避難所の医療支援・搬送支援がほとんどである。災害時保健活動は、その医療救護活動と密接に関係するが、急性期から亜急性期に活動が変わる中、そのフェーズも異なってくる。被災者を誰一人取りこぼすことなく、どのような情報を集め、それをどう災害時の保健福祉活動、そして生活再建に繋げていくか、石川県能登地方地震の事例から、今後の連携を考える。
企画:ピースボート災害支援センター
生活環境の回復が一定程度見られる回復・復興期は、被災者の生活再建を主な目的とした「地域支え合いセンター」による被災者支援が行われている。しかし、被災した住民が抱える課題が多岐にわたることから、回復・復興期では被災地元の地域力(地縁・隣近所の助け合いなど)が被災者の生活再建に必要不可欠であるが、そうした考えは浸透されておらず、地域支え合いセンター自体の設置も行政からの指示待ちと捉える社協も少なくない。本分科会では、平成30年豪雨での広島県からの事例報告から、災害ボランティアセンター立ち上げ時から回復・復興期を見据えることの必要性の理解、被災者への切れ目のない支援を社協が応援する意義、多様な住民との協働の必要性について、あらためて考える機会としたい。
企画:全国社会福祉協議会
災害時には、高齢者、障がい者、子どもなど、災害の影響をより受ける。また、特に、障がい者、子ども、女性やセクシャルマイノリティの方々など、適切な支援の手が届かないことが多い。それぞれの領域の専門家や団体により支援が行われているが、被災者支援を全般的に行う支援者との接点はまだ限定的である。本分科会では、専門的な支援を展開する団体や専門家から、多様性に配慮した支援の取り組み事例を学び、災害支援を専門とする支援者等とのつながりを作り、連携した支援の在り方を考える。
企画:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
毎年のように頻発する水害のほとんどが内水氾濫です。今年発生した秋田市での水害への対応をしていく中で、地元支援組織(社協やその他団体等)とJVOAD技術系専門委員会らが協力して、秋田市を例にして内水氾濫の建物保全の説明資料を作成しました。この資料は、今後市町村ごとにアレンジして使用されることを想定しています。本分科会では、他市町村版にアレンジするためのポイントを解説するとともに、これまでに各団体が作成し、被災地域で活用している資料等(冊子など)も紹介し、技術や知識、対応方法を広めるきっかけとします。
企画:JVOAD技術系専門委員会
全国各地で災害が多発する中、企業の支援活動も多様化しています。行政との協定をベースとした支援、社員ボランティアや災害ボランティアセンターの運営支援、NPOや災害中間支援組織を支えている企業もあります。また、その取り組みへの考え方も社会貢献がベースであったり、本事業を活かしたものであったり、ビジネス的な観点を取り入れるなど様々です。本分科会では、災害中間支援組織と企業が連携することで、どのような支援を進めていけるのか。その課題なども取り上げながら、被災地・者の課題解決に向けて、両者がともに取り組むことで出来る事を、いくつかの企業事例を伺いながら、企業、災害中間支援組織、NPO等で交流をしながら考えていきます。
企画:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
JVOADでは、被災者支援コーディネーション委員会を設置し、これまでに都道府県域や分野別の被災者支援コーディネーション・ガイドラインを作成してきた。また、2022年からガイドラインを基に、被災者支援コーディネーターの育成にも着手し始めた。本分科会では、災害時に支援のもれ・むらなく、スムーズなコーディネーションが推進されることを目指し、県域の災害中間支援組織や、災害対応を実施する団体、グループが、災害時の「コーディネーターの役割」と「コーディネーションの仕組み」について理解を深める。
企画:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
クルマ被災への備えは非常に重要であるが、十分に認識されていない実情にある。例えば、災害時にクルマが被災することは皆承知しているが、そのことが被災者へどんな影響を与え、どれ位の規模起こっているのか把握すらされていない。まずは、ここにしっかりと焦点を当て、今後どのような備えの体制が必要で、そのためには何ができるかを探っていく。そして、クルマを所有するすべての人々がクルマ被災への認識を高めると共に、クルマ被災に対して真剣に向き合い、具体的な備えを実行できる体制を目指す。
企画:日本カーシェアリング協会
協力:一般財団法人トヨタ・モビリティ基金
2019年に千葉県の房総半島に上陸した台風15号は25市15町1村に対し7万棟を超える住宅に被害を出した。50を超える団体が支援に駆けつけたが、地域ごとに支援内容や行政、社協との連携体制が異なった。その状況を受け千葉南部災害支援センターを設立。屋根へのブルーシート張りなどを通じた支援の連携体制を構築し、現在もみなし仮設の退所者へ向けた支援を継続している。また次の災害に備え災害中間支援組織の機能をもつ災害支援ネットワークちば(CVOAD)を設立し、人材育成や県内外とのネットワーク構築を実施している。本プログラムではその真っ只中におきた2023年9月の台風13号へ対する支援状況についても紹介する。
企画:ピースボート災害支援センター、災害支援ネットワークちば(CVOAD)
災害発生時における三者連携の象徴であり、支援状況や課題の共有とマッチングを行う場として情報共有会議の開催が定着化してきました。一方で被災地域が拡大するほど共有する情報が多く煩雑になり会議自体の進行も難しいことや、活動で疲れた中で夜に集まることの限界、またお知らせしたいタイミングでできないことなど、様々な課題が多くあります。そこで災害時における支援団体間、行政・社協とNPO間の情報共有のあり方について考えます。また、その改善のためのプラットフォームとして開発したアプリ「災図」の紹介や活用方法についても参加者の皆さまと考えます。
企画:岡山NPOセンター
地域の災害対応力の向上が求められる中、公助には限界があることを改めて認識した上で、官民連携力をいかに高めていけるかが急務であり、これまで以上に重要視されている。地域の官民連携ネットワークによる災害マネジメントサイクルの好事例を共有することで、各地域の官民連携力アップに向けた取り組みのヒントや気づきを得ていただくと同時に、「いつも」を「もしも」に活かす「食と栄養」の取り組みに繋げていただきたい。
企画:味の素ファンデーション
2023年4月、災害支援の現場を経験している4つの組織が連携し、より早く、より多く、より確かな支援の実現のためのDX活用を目指し、「災害支援DXイニシアティブ」を発足しました。DX活用は、被災者支援の現場のみならず、国の方でもDXによる災害支援に力を入れてきており、関心をもっている企業も増えています。現場を知っている支援団体だからこそ見える課題、技術的なノウハウを持っている企業、被災者支援に関わる行政、社会福祉協議会等、多様な視点で、「ITで被災者をどう救えるのか?」を考えていきたいと思います。
企画:災害支援DXイニシアティブ
昨今の自然災害への対応をふまえて、支援者間(行政、ボランティア、NPO・企業等)の連携の重要性はこれまで以上に高まっています。各地で連携体制の構築が進められているなかで、その体制が実際に機能するのか、訓練等を通じて事前に確認し、改善するためのサイクルは、まだ充分にできていない状況です。そこで、この分科会では、連携体制を築いていくことに不可欠な支援者間の相互理解(共感)について考えていきます。「相互理解」や「共感」を進めるには、どんな取り組みが必要なのか、各地では、どんな取り組みが行われているのかなど、皆さんと話し合い、意見交換しながら、さまざまな方法を見いだしていきたいと思います。
企画:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
災害ケースマネジメントは、被災者一人ひとりに必要な支援を行うために、訪問等のアウトリーチにより被災者の状況を把握し、官民連携の下、多様な課題に対応することで被災者の主体的な自立・生活再建のプロセスを支援する被災者支援の手法である(内閣府 災害ケースマネジメント実施の手引きより)。災害ケースマネジメントにおけるケース会議および情報連携会議を円滑に進めるために、会議運営者にはファシリテーションスキルが求められる。この分科会では、被災地での災害ケースマネジメントでの会議におけるファシリテーション活用の事例を紹介すると共に、円滑な会議の運営に向けて、どのようにファシリテーションスキルを活用するのかについて考える。
企画:日本ファシリテーション協会
当専門委員会では、避難所で被災者の心身の健康と活力、尊厳を守り、困りごとの早期発見・解決を図るためには、被災者自身が運営に積極的に参画することが要の一つになると考えてきました。しかし、自治体や地域、NPO等の支援者からは、平時も災害発生時も「避難所の自主運営」の望ましい在り方や具体的な取り組み方法が分からず、多くの悩みを抱えているという声が聞かれています。そこで本分科会では、過去の災害の事例に、あらゆる分野で取り入れられている住民参画やエンパワーメント等の観点を加え、被災者が参画しやすい避難所運営の環境づくりについて深く掘り下げます。
企画:JVOAD避難生活改善に関する専門委員会
令和5年7月8日からの大雨土砂災害では、県内の佐賀市・唐津市においては、お亡くなりになる方々もいる大変な状況で、現在も引き続き支援活動を続けています。佐賀市においては、過去の被災経験とそれからの三者連携会議等を地道に実施してきました。また、一方で唐津市は、初めての被災でこれまでの繋がりがほとんどないという状況からスタートしました。2つの地域での支援活動を通じて見えてきた【平時からの連携の有用性】【何を備えていればよかったのか】実際の佐賀での支援活動事例の報告を交えながらお話させて頂きます。
企画:佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)