第2回のオープニング/パネルディスカッションでは、行政・企業・NPO/NGOなど複数の視点で、阪神・淡路大震災から今日までの災害対応の変遷について振り返りを行いました。災害現場では、フォーラムのテーマに掲げる「多様な担い手が集う場」になるため、各分野の考え方や思いについて相互理解の必要性が認識されたと同時に、その相互理解を促進するためにもJVOADの役割が重要であることが挙げられました。2日間を通して都道府県域の支援ネットワークや多様な支援者とのつながりなど、コーディネーションや連携などをテーマにした10の分科会が行われ、各分野での対応能力の向上を高めることについて、活発な意見が交わされました。
JVOADや全国フォーラムに対する今後の期待・ご意見・ご要望をお聞きしました。
企業同士の勉強会や事例紹介を通して、JVOADの考え・仕組みを広げることも重要だと思います。(企業)
さまざまな専門性のある支援団体が増えており、今後はますます多様な連携が必要になると感じました。(NPO)
年1回のフォーラムだけでなく、定期的に災害ボランティア・行政・企業が意見交換できる場が必要だと思います。(大学・研究機関)
今後とも広いネットワークを築いて頂きたいです。(行政)
緊急時は立場を超えた人間関係が大切なので、平時のこのような機会は貴重です。(社協)
熊本地震では、震災関連死が直接死の3倍以上に上りました。背景には、「命と健康と尊厳を守るために必要な最低限の生活環境が整っていない」「改善のために動ける支援者の人手が足りない」などの課題が考えられます。この分科会では、災害時に震災関連死や重篤な健康被害が発生する要因を改めて検証し、これを防ぐために必要な支援のポイントや、平時からの人材育成、ネットワークづくりの提案に対し、活発な意見交換の場を作っていきたいと思います。
<企画:震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)/JVOAD避難生活改善に関する専門委員会>
同一都道府県の複数市町村が被災した場合、各地域の状況に即した支援を素早く届けるためには、官民協働や地元と外部支援者の協働による課題解決の取り組みが不可欠ですが、平時からの関係づくり・ルールづくりなどは、まだ充分とは言えません。この分科会では、熊本地震や台風10号災害の際の、都道府県ネットワークの果たした機能の検証を兼ね、関係者が一堂に集い、連携・協働のあり方や意義についての意見交換を行い、支援力の強化を図ります。
<企画:災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)/社会福祉法人全国社会福祉協議会>
東日本大震災の発生から6年が経過し、復興のみならず、震災前からの地域課題に取り組むなど民間支援も変化してきています。このような中で、被災地内外の中間支援組織が果たしてきた役割を中心に振り返り、大規模災害における中間支援機能を検討するとともに、平時からの取り組みの方向性なども検討します。
<企画:東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)>
高齢化や少子化が進む中、大規模災害時に日本人だけで支援を実施することはいずれ困難になります。資金や人材の面で海外から支援を受け入れ、海外と日本の支援者が協働するためには、人道支援の基準を共通ルールとして、被災した方々に十分な配慮をすることが求められます。海外と日本の具体的事例を参考に、国際基準とは何か、知っているのと知らないのとでは支援の質がどう変わるのか、その中の何を取り入れたらよいかを一緒に考えてみましょう。
<企画:認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)/NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)>
災害時の緊急支援物資輸送の取り組みは、1995年の阪神・淡路大震災以降、大規模災害のたびに課題とされ、行政による拠点整備などが行われてきました。一方で、2016年の熊本地震では、被災した住民まで救援物資が届かない「ラストワンマイル」が課題となるなど、災害時の物流支援は行政、関係企業、支援団体を含めた議論による改善がまだまだ必要な状況です。この分科会では、災害時の物流支援に関わる企業、生協、支援団体などが現状の課題を共有し、今後の災害に備え平時からできる物流支援の課題解決の道を検討する機会とします。
<企画:認定NPO法人日本NPOセンター/NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)>
大規模災害時には、さまざまな苦痛を抱えた住民が避難生活を強いられます。それに対し公的対応だけでは、住民の尊厳ある生活は守れません。そこで官と民、民と民が連携・協力し、民が持つ多様な専門性やそのチカラを活かし、支援を行うことは必要不可欠となっています。しかし発災後の現場では、多様な支援者同士が連携・協力を実現した事例はまだまだ少なく、その機能が充実することが求められています。この分科会では、災害対応を実施した各分野の専門家を招き、お互いの専門性や価値観を認識し、次の災害時の連携・協力関係の構築を目指していきます。
<企画:一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター/NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)>
南海トラフ地震や首都直下地震をはじめとする、大規模な被害をもたらす災害で複数市区町村が被災した際、支援のヌケ・モレ・ムラをなくすためには、都道府県域のネットワークが大きな役割を果たすはずです。しかし、県域でのネットワークづくりは未だ十分とは言えません。この分科会では、各地で実践されている訓練や研修など、平時での各県域の取り組みの成果を共有するとともに、自治体との連携、多様な団体・組織との連携など、ネットワークづくりのヒントを共有する機会とします。
<企画:東京災害ボランティアネットワーク/チーム中越>
2016年に発生した熊本地震では、300を超える支援団体が被災地に駆けつけ、避難生活の支援から生活再建に向けた支援まで、さまざまな活動が行われました。この活動の中では、支援団体間での情報共有が県レベルや市町村レベルで活発に行われてきましたが、その一方で「どの支援団体が、どこで、どのような活動を行っているか」という情報を集約し、それを基に効果的な支援を実現する上では、課題も残されました。本分科会では、現在作成中の情報集約ツールを体験しながら、幅広い現場で活動する支援関係者と意見交換を行うとともに、今後の災害に備えた情報集約の方法やITの効果的な活用について検討します。
<企画:一般社団法人情報支援レスキュー隊(IT DART)/JVOAD災害時の情報集約に関する専門委員会>
災害時に市民が取り組む復旧・復興活動を資金面から支援する助成の取り組みは、東日本大震災で大きく拡がりました。また、熊本地震においても中長期にわたる被災者支援の活動を支えています。一方、資金が集まる時期とニーズの高まる時期の違いや、復旧から復興へのニーズの変化などにどう対応するか、さらに、災害の種類や規模による資金支援のあり方など、さまざまな課題も生まれています。この分科会では、東日本大震災や熊本地震において助成金の担い手となった組織の取り組みを中心として、被災地の復興支援に必要な資金支援のあり方について、知見を共有する機会としていきます。
<企画:認定NPO法人日本NPOセンター/社会福祉法人中央共同募金会>
2015年に発生した関東東北豪雨水害、2016年に発生した熊本地震など、災害のたびに行政とNPOなどの民間による支援の連携が進んでいます。また、国の防災基本計画などにおいても具体的な連携について示されるなど、大きな変化が起きています。本分科会ではさまざまな災害対応に基づいた官民連携に対する社会の認識の変化を共有するとともに、新たに発生した台風10号による災害への対応の事例を基に、平時からの連携のあり方や被災地での「受援」について考えます。
<企画:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター/NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)>