福島県で「被災者支援コーディネーター育成研修」を開催しました
被災者支援コーディネーター育成研修の意義と背景
JVOADは、災害時に迅速かつ効果的に支援を実施する体制を構築するため、都道府県域の災害中間支援組織をサポートしています。その一環として、JVOADは被災者支援コーディネーター育成研修を定期的に実施し、支援調整に必要な知識やスキルを提供しています。
2024年12月3日には、福島県の災害中間支援組織である「ふくしま県災害支援ネットワーク」と共催で、被災者支援コーディネーター育成研修を実施しました。
ふくしま県災害支援ネットワークに関わる7つのNPOから11名が参加し、講義や演習、グループワークを通じて実践的な内容を学びました。
講義:被災者支援の課題とコーディネーターの役割
研修の前半では、JVOADの明城が「被災者支援コーディネーション(調整)とは何か」「災害中間支援組織とコーディネーターの役割」をテーマに講義。まず、被災者支援の課題として以下の4点を挙げ、それらに対応するためのコーディネーションの重要性を説明しました。
- 限られたリソースと担い手不足
- 分野・セクター間の連携不足
- 被災者のニーズに立った視点の欠如
- 多様な主体への理解不足
「災害中間支援組織とコーディネーターの役割」についての講義では、被災者支援コーディネーターの役割は、直接的な支援実施とは役割が異なること、将来の脆弱性を軽減するための配慮が不可欠であること、また、コーディネーションの実施体制について、「被災者支援コーディネーション ガイドライン」に基づいて説明しました。
その後、JVOADの柴田がグループワークの進行役を務め、災害中間支援組織の4つの機能である「連携の促進」「全体像の把握」「活動の支援」「課題解決のための調整」を共有しました。
福島県の事例から学ぶ
後半は、2023年いわき市水害への対応について、災害支援ネットワークIwakiの馬目氏による事例発表からスタートしました。事例を通して、情報共有の成果と課題が示され、長期的な支援と災害対応の改善の必要性について言及がありました。
ケースに基づく演習と意見交換
ケーススタディを用いた演習では、JVOADの神元がファシリテーターとなり、ふくしま県域災害支援ネットワークのメンバーを含む参加者全員で、豪雨被害が発生したという想定で、災害発生から復旧・復興までの各災害フェーズにおける状況や具体的な支援活動についてディスカッションを行いました。
また、「誰と連携するか」「どのような行動をとるか」といった課題や、行政や社協など関係者との連携についても話し合われました。
全体発表では、「平時からの連携の場の必要性」や「関係者間の目線合わせの重要性」などが共有され、今後の課題として取り組む意欲が示されました。